ある焙煎の9分18秒
これは実際に ROEST で焼いた一本の、記録データです。温度も時間もハゼも、すべて計測値です。
豆の水分を抜く時間。まだ味や香りはほとんど生まれていません。
豆の色は、計測した豆温度から推定したもの。写真ではなく、目安の色です。スクラブして、ハゼまで進めてみてください。
濃い=強い・カフェインが多い、ではありません。深煎りはむしろ重量あたりのカフェインが微減します。
なぜそう言える? · 出典▸
「深煎り=カフェインが多くて強い」はだいたい誤解です。カフェインは多くの成分より熱に強いので、同じ重さで比べると焙煎度によるカフェイン量の差はわずか。深煎りは水分と質量が抜ける分、グラムあたりではむしろ少し増える傾向があり、ごく深い焙煎でようやく少し減る、というくらいです。深煎りが「濃く・強く」感じられる正体の多くは計量のからくりで、深煎り豆は軽く膨らんでいるため、同じスプーン1杯だと浅煎りのほうが豆そのものが多く=カフェインも多く入ります(重さで量ればほぼ同じ)。舌が感じる「濃さ」はカフェインではなく抽出された溶解成分(TDS)の濃度です。焙煎度をまたいでカフェインを揃えたいなら、スプーンではなく重さで量るのがおすすめ。
- 査読Hecimović et al., Food Chemistry (2011) — roasting did not significantly change caffeine per mass
- 査読Mehaya & Mohammad, Heliyon (2020) — caffeine more thermostable than chlorogenic/caffeic acids
- 査読Lindsey et al., Scientific Reports (2024) — brewed caffeine drops only past ~400–420°F drop temps
- 経験則America's Test Kitchen — ~60% more caffeine by volume, near-identical by weight (lab demo)
- 経験則SCA Brewing Control Chart — 'strength' = TDS, distinct from caffeine
査読 = 査読つき論文・標準 / 経験則 = 総説・ロースターの経験(査読なし)
CHOOSE · 焙煎の方向を選ぶ
焙煎の方向性を、データで伝える。
選んだターゲットを目指し、ロースターが当日の豆と気候を見ながら焼き上げます。 完全制御ではなく、意図の共有です。
VARIANCE · ±5°C / ±30s
豆の含水率・湿度・気温・ドラム状態で実曲線は ±5°C / ±30s 変動します。ロースターが範囲内に収まるよう仕上げます。
価格は豆と量で決まります(100g〜)。次の画面で確定価格が出ます。
この方向で焙煎を依頼する焙煎度は連続したスペクトルです。同じ深さでも、そこに至る道(時間・火力)で味は変わります。
なぜそう言える? · 出典▸
ディベロップメント時間(1ハゼから煎り止めまで)は、いわゆる『焙煎フレーバー』の大半が作られる区間で、ここを外すと味でわかります。査読論文では、専門域の範囲内で、ディベロップメントが短いほどフルーティ・甘い・酸が出やすく、長いほどロースティ・ナッティ・苦味寄りになることが示されています。酸味側には測定された化学的根拠があり、滴定酸度は1ハゼ付近でピークを迎えてその後減っていきます——だから1ハゼ直後で止めると酸っぱく寄りやすく、長く煎ると酸が抜けます。よく引用される『DTR 20〜25%』はロースターのScott Rao由来の目安で、本人も「DTRは焼き込みの保証ではなく多くの指標の一つにすぎない」と明言しています。大きな方向性は査読証拠で支持されますが、具体的なDTRの数値域は職人的コンセンサスです。
- 査読Alstrup et al., Beverages (2020) — development time drives fruity↔roasty sensory shift
- 査読Anokye-Bempah et al., Scientific Reports (2024) — titratable acidity peaks near first crack then decays
- 査読Kim et al., Foods (2024) — pH & chlorogenic-acid changes with roast degree
- 経験則Scott Rao — Development Time Ratio (craft consensus; source of the 20–25% window)
査読 = 査読つき論文・標準 / 経験則 = 総説・ロースターの経験(査読なし)
REF · 中煎り ≈ 216°C target · 7 real batches matched
